鬱病(うつ病)の改善法と鍼灸治療の効果
鬱病(うつ病)の改善法と鍼灸治療の効果
一生のうちにかかる確率10%、
女性は男性の2倍かかりやすい病気。
誰にでも起こり得る。
それが、「うつ病」。
うつ病は心の病気といわれますが、
単純に精神的な弱さからではなく、
脳内のトラブルが深く関わっており、
生活習慣の見直しや鍼灸で脳や神経系の
働きを整えることで改善につながります。
今回はそんな鬱病(うつ病)について
解説いたします。
目次
①うつ病とは
②症状
③ 原因
④ 治療方法
⑤ セルフケア
⑥ 鍼灸の効果
⑦ もし気分が落ち込んでしまったら
①うつ病とは
日本のうつ病患者は推定500万人と増加傾向にあり、
コロナ以降、患者負担はますます増加しています。
社会の負担に目を向けても、
自殺とうつ病による経済損失は
年間2.7兆円と報告され、自殺の2割は
うつ病などの気分障害が原因であり、
うつ病は日本の健康障害の第4位とされています。
一方で、うつ病患者さんの5人に3人は医療機関を
受診していないことが分かっており、
鍼灸にメンタルヘルスを求める患者も少なくありません。
②症状
・気分の落ち込み
・悲しくないのに涙が出る
・イライラ
・興味や喜びの消失
・食欲不振
・不眠
・疲労感
・希死念慮
・全身の痛み(局所の痛みから6年で22.6%が移行)
③原因
そもそもは原因不明だが、
身体で起こっているであろうこととしては、
脳など神経細胞の炎症
↓
モノアミン(幸せ安心ホルモン:セロトニン、意欲ホルモン:ドーパミン、集中ホルモン:ノルアドレナリン)の減少
《具体的な引き起こす可能性があるもの》
・アルコール
・甲状腺機能低下
・脳血管疾患
・パーキンソン病
・全身性エリテマトーデス
・降圧剤の一部
・ステロイド剤
・抗腫瘍薬
もしくは原因不明
④治療方法
・休息
・薬物療法
・精神療法(カウンセリングなど)
・電気療法(ECT:電気けいれん療法、rTMS:反復経頭蓋磁気刺激)
まずは休息。
あらゆるストレスを避けて、
自宅にこもって良いです。
「休む事が仕事です」
最初は引きこもって昼夜逆転でも構いません。
1週間〜3ヶ月ほどで、
症状は軽くなり少し元気が出てきます。
そこからは、治療と思って、
早寝早起きを心がけましょう。
朝6〜8時には起きて、
夜21〜24時にメラトニンの分泌により
眠くなりやすくなります。
あとは、
薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、気分調整薬、抗精神病薬など)
こちらは、医師の先生と相談しながら、
少しずつ試して、最終的には減らしていけると
良いですよね。
そして精神療法(カウンセリングなど)
こちらもとても有効になります。
お話をすることであなたの頭の中は整理
されてきます。
電気や磁気によって神経の働きを
調整(モデュレート)する治療法もあります。
薬物療法でもなかなか良くならない、あるいは
症状が長期化している遷延する精神疾患がある方の
新しい治療法になります。
予後(個人差はあるが、たどるであろう経過)
初期→急性期→寛解→回復期→再発予防
※無治療の場合は90%は半年〜2年は継続してしまうリスクがある
※治療を始めれば40%は1年で寛解するので、早めに治療開始が望ましい
※40〜50%は再発の可能性があるので、長期目線で見て、再発予防を意識したケアが大切。
※ お仕事復帰時などは悪化しがちなので、とにかく焦らない。
復職にはリワークプログラムなどがある。
ポイントは、
まずは慣らし運転から始める。
いきなり80〜100%で仕事に臨まない。
最初は30%、次は50%→80%→100%と
段階的に仕事量や時間を増やしていく。
⑤自分で出来るセルフケア
・外出して日に当たると幸せ安心ホルモン:セロトニンが増える。
・隠れ貧血(セロトニン等が低下)にならないように鉄を摂る
(通常の貧血検査だけでなく、貯蔵鉄フェリチンの数値で100を目指す)
具体的に鉄を摂るには、、、
牛肉赤身、マグロ、カツオ、アサリ、レバー
・低血糖症状(冷や汗、動悸、気分が沈み込む)を防ぐために、
血糖値が急上昇して急降下しないようにコントロールする。
具体的には、、、
甘い清涼飲料水は避ける、砂糖を使っている間食を減らす、
パン・麺を食べる際には単独で食べずにタンパク質や野菜と
一緒に食べる等。
・早寝早起きでホルモン分泌の1日のリズムを整える
・息が切れるくらいの運動をすると、
感情と深く関わる大脳辺縁系の血流が改善する
⑥鍼灸の効果
うつ状態は中枢性感作つまり「脳が過敏」になっている
痛みやストレスなどの刺激に過度にさらされることによって、
脳など中枢神経が過敏になっている。
そこで、(痛みのハードルが下がっているので)鍼灸にて
痛みの閾値を上げる。
または「抗炎症作用」「脳機能の改善」を促す。
この際、1週間に2〜3回と施術回数が多い方が
効果が出やすい。
東洋医学と精神活動
肝←→怒 →魂:睡眠、計画を立てる
心←→喜 →神:他の精神活動をまとめる
脾←→思 →意・智:記憶力、思考活動
肺←→悲(憂) →魄:感覚、反射、行動
腎←→恐(驚) →精(志):長期記憶、選択力
これらの関連性が古典医学書にも
記載されていますので、
それに則って、ツボを選び、
鍼灸施術にてアプローチしていきます。
⑦もし気分が塞ぎ込んでしまったら
セルフケアをしてみる。それでダメなら、
まずは人に相談。
なるべく専門家(精神科医・心療内科医)が望ましいです。
あなたの回復の過程が、その方は見えています。
信頼できる先生を探してみてください。
何も分からず、うつと向き合うのは、
しんどいです。
あなたの病気の見通しがついてる人に、
あなたの今の状態と、今後の流れを
聞いてみてください。
見通しがつけば、
きっとホッと出来るし、
安心できるはずです。
ある精神科医の先生の言葉が
とても刺さったので、
ここに紹介します。
「心があるから心の病気になる。心ない人は心の病気にならない。」
あなたは、優しい、気遣いができる。
人の弱さ・辛さが分かる繊細な人だ。
だからこそ、心の病気になることもある。
そういう風に聞こえます。
適切な治療を受ければ、
ちゃんと改善されてきます。
出来ることから、やっていきましょう。