「自律神経」を整えたい!

不眠症の薬を減らしたいあなたへ 【睡眠薬】知っておいて欲しいこと

成人の約1割は不眠で悩んでいます。

不眠症治療する際に使われる睡眠薬。抗不安薬。
本当に減らせるの?やめられるの?
そういった疑問にお答えします。

睡眠薬 、抗不安薬 の 減薬・休薬に向けて
医師の先生の講演を学会で拝聴する機会が
ありました。

「現場の先生方がどんな思いと計画でお薬の
調整をされているのか?」
これを知ることができる貴重な機会でした。
あなたにもシェアできればと思います。

当院にお越しいただく患者様の中にも、
睡眠薬について悪いイメージを持っている方も
いらっしゃり、やめたいけどやめられないと
苦悩されています。

お薬にはメリット・デメリットがあり、
何に重きをおくのかによって、
飲む・飲まないが決まります。

理想はお薬を全部スッパリやめられると
ベストですが、実際のところは飲んでいた
方が日常生活の質が上がったり、リスク予防
できたりすることは多々あります。

ですから、「睡眠薬」の中でもこれだけは
やめられるように徐々に調整をしてほしい
ものがあるので、それを覚えておいて
いただきたいです。

そしてそれを、主治医の先生と相談しながら
減薬・休薬をすすめてみてください。

《今日お話しすること》
1.睡眠薬の種類
2.注意すべき薬
3.減薬するための基準
4.減薬・休薬するための具体的な方法

1.睡眠薬の種類

睡眠薬の4種類

①ベンゾジアゼピン系睡眠薬
 脳内物質GABAの受容体に作用し、不安や
 緊張を和らげ、筋肉の緊張を取り、
 眠りやすい体内環境にします。

②非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
 GABA受容体に作用するが、催眠作用が
 中心で、その他の作用は弱くなっている。

③メラトニン受容体作動薬
 体内時計を調節するホルモンである
 メラトニンの受容体に作用して、
 眠気をもたらす。

④オレキシン受容体拮抗薬
 脳内の覚醒ホルモンであるオレキシンの作用を
 抑えて、眠気をもたらす

2.注意すべき薬

特に注意すべきは、、、

ベンゾジアゼピン系(よく名前を聞くものでは
デパスリーゼハルシオンレンドルミン等)

特徴としては、、、

服薬1年超えると用量が増え依存傾向が
ある。飲み始めた頃は効果がすぐ出るの
ですが、使い続けるうちに効きが悪く
なってくることがあります。

◎反対に、お薬を止めるときも急に薬が抜けると
脳や身体がついていけず、かえって不眠が
ひどくなる反跳性不眠がおこることもあります。
するとかえって不安になり、精神的にも
依存性が増す

◎睡眠の満足に関わる除波睡眠が減少しやすい。
このため、時間はしっかりと寝たのに疲れが
とれない、寝不足感がある、となってしまう
ことがあります。

◎高齢者や新規は避けるべき
上記のリスクに加え、認知機能低下・
転倒・骨折・日中の倦怠感などの
リスクがあるため

3.減薬するための基準

減薬するポイント

・不眠(寝つきが悪い、途中で目が覚める、
 早朝に目が覚めてしまう等)と日中症状
 (強い眠気、疲労感、倦怠感、意欲でない等)
 とのバランスをみる

・こだわりの確認(薬がないと眠れない
 という思い込みの有無を考慮する。)

・眠れるようなって数ヶ月安定してから
 減薬する

・漸減(例:2〜4週間に4分の1量減)、
 隔日法(例:3日に一回お休み)にて徐々に減薬

長期使用者の無理な断薬・減薬のリスクとは? 

・離脱症状(動悸・発汗・振戦・不安症状)
・高齢の場合はふらつき転倒・認知機能低下に注意

長期処方がやむを得ない場合

・心疾患
・てんかん
・統合失調症 
 のある方

4.減薬・休薬するための具体的な方法

減薬・休薬の方法として、、、

睡眠スケジュールをつけてみる
 (施策に対しての変化が確認しやすくなる)
・認知を是正する
 「睡眠薬を怖がりすぎない、頼りすぎない。」
 「睡眠5〜6時間でも日中元気であれば大丈夫。」
無理に早く寝ようとしない。就寝時間を実際に
 眠れている時間に近づける。
ストレス減らして眠気を貯める。
遅寝、早起きで眠気を貯める。
眠れなければ光刺激は避けてリビングにて
 夜を楽しむ。(ラジオ・音楽など)
逆説性不眠の存在も知る。
 ※逆説性不眠:客観的には眠れているが、
 本人の自覚としては「一睡も出来て
 いない」といった状況。
入浴は就寝2時間前がおすすめ
昼寝は午後3時までに20分以内
寝酒はすぐ眠れるが、実は眠りは浅くなる。
 またトイレ回数も増えるので質が低下する。
カフェインの覚醒効果は4~5時間。
 夕方以降は控える。
「生きがい」は心疾患のリスクを低減する
 ことが報告されているが、実は睡眠の質を
 左右する可能性も示唆されている。

施術者側が出来ること

◎睡眠の認知行動療法
 上記のような具体的な方法や、患者さん
 ご自身で思いついた方法を試して、
 患者さんと一緒に検証をしていく。

・睡眠改善のための施策は複数用意して、
 患者さんご本人に選んでもらうことが大切。
・エビデンス提供は相手の反応を見て押すか
 引くか決める。
・患者さんの「(その施策は)やってみた」には、
 まず結果を聞く。そこで変化が出てなければ、
 この患者さんにとってはその施策は効果が
 薄い可能性がある。
・患者さんの「出来なかった」には、
 「そうですか。全くですか?」と問いかけ、
 何かチャレンジしていたら、そちらを褒めて、
 出来たことに目を向けてもらう。
・一緒に次回の課題を考えたときに、
 患者さんが「うーん、出来るかな…」と
 自信がなさそうであれば、「今ままでやったこと
 ないですからね。現状維持という手もありますよ。」
 と声掛け。もし患者さんが前向きに選択されたら、
 「私もそれがいいのではと思っていました。」と
 選択に追従し、肯定して背中を押す。
・自宅での工夫・施策は、それをする意義に
 加えて、自宅でどのように取り入れたらよいか
 を頭の中で擬似体験させてあげるとよい。
 (患者さんはいつ、どのように日常生活に
 取り入れたら良いかが分からないから。)

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回、睡眠薬はやめることが出来る事。
そしてそれは相談すれば、医師の先生も
応えてくださること。
この2点をまずは知っていただき、
あなたが睡眠薬を利用する際の参考に
していただけると、私としても嬉しいです。

睡眠で悩んでいらっしゃる方は、専門家に
一度ご相談されてみてください。